蒸留器　銅製アルコール蒸留器　☆チャレンタイス

□左の写真はヒーティングタンクの内部。
　右の写真はたまねぎ型のドームの内部で、この
　たまねぎ型のドームに満たされた白ワインはヒ
　ーティングタンクからの水蒸気がスワンネック
　パイプを通して冷却槽に入る前にドームの中を
　通るパイプの熱により事前に熱せられ、ヒーテ
　ィングタンク内のワインの蒸留が終わるとすぐ
　にヒーティングタンクとドームを繋いでいるパ
　イプのコックを開くことにより、ヒーティングタ
　ンクに移され、蒸留が続けられます。

□もともとの発想はこの蒸留したワインを現地に着いたら、また
　水を加えて白ワインに戻そうと考えて行われましたが、酸味の
　強い白ワインより、思惑に反してこのチャレンティブランデー
　（コニャック）のほうが好まれ、すぐにチャレンティ地方は素晴ら
　しく良質なブランデーの産地として知られるようになりました。

□このブランデーを作り出す工程は恐ろしくゆっくりと行われ、２
　度の蒸留が要求され、その工程を完全に行うためにはほぼ２４
　時間掛かりました。しかし、このチャレンタイスによる、不純物を
　含まない蒸留液（ブランデー）と同等の品質を得るには一般的
　なアランビック蒸留器では4,5回も蒸留を繰り返さなければな
　りませんでした。

□銅製アルコール蒸留器「チァレンタイス」は場所によって真鍮や銅
　により溶接され、人体に有害な鉛は使用されておりません。
　また、使用されている銅板も厚く、パイプどうしはネジ式のロック
　タイプが使われています。
□他のアランビックと同様に、このタイプも蓋とポットはピッタリと閉
　じられるようには作られておらず、やはりここから水蒸気がもれ
　ますのでライ麦粉を水で練ったものを貼付するかタオルなど巻く
　必要があります。ピッタリと作られていないのは火に長時間かけ、
　使用後に蓋とポットが外れなくなることを防ぐためです。
□このタイプはあまりに美しいので実際に使用できるにもかかわら
　ず、使用せずにワインセラーやバーなどのディスプレーとして用
　いられています。

□チャレンタイスは独特な形状をした銅製ポット及びたまねぎ型を
　したドームから構成されています。

□白ワインをまず直火で熱するヒーティングタンク及びたまねぎ型
　のドームに満たします。タンクの白ワインの温度がアルコールの沸
　点に達するとアルコール度の高い水蒸気がタンクのスワンネックの
　付いた蓋に集まり、スワンネックのパイプから白ワインが満たされ
　たドーム（白ワインプレヒーター）を通り、水が張られている冷却槽
　のパイプを通ることにより冷やされ、"brouillis"（蒸留過程の最初
　の段階で得られる液体）と呼ばれる液体の状態に変化します。

□これらの"brouillis"は再度ヒーティングタンクに戻され、2回目の蒸留が行なわれ、"a bonne chauffe"と呼ばれる
　最終製品がこのようにして出来上がります。そして自然の色、香りや味を付け、またアルコール度を下げ、よりまろ
　やかで、こくが出るようにオーク材の樽（下の写真後方にあるような）に入れ、熟成させます。

□アランビックの中で最も優雅で美しく、遠い昔を思い出させるよう、
　な昔の王宮をイメージさせるような銅製蒸留器がチァレンタイスで
　す。ほかのアランビックと異なり、チャレンタイスはフランスのコニャ
　ック地方で16世紀の初頭、この地方の酸味の強いチャレンティ白ワイ
　ンが初めてブランデーに変換された際に現れました。当時、フランス
　の北方やバルチック海を渡ってフランスのロッシーユの港に塩を運ん
　で来た船はその地方のワインを積んで帰っていました。そして、狭い
　船のスペースを有効に生かすためにかさが張るワインをこのチャレ
　ンタイスを用いて蒸留し、より多量のワインを運ぶことを試みていま
　した。